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推理小説感想② アリバイ崩し承ります (ネタバレ有り)

せめて2冊目くらいまではネタバレを禁止しようと思ったのですが、

ネタバレ無しでトークを言えない為ネタバレを加味しながら感想を書いていきます。

 

今回取り上げるのは大山誠一郎さんのアリバイ崩し承ります。

 

www.j-n.co.jp

この本は今年の本格ミステリランキングの1位に輝いた作品。

大山誠一郎さんの作風はパズラーと呼ばれる犯人当てを主としている本格作家で

謎解きゲームが好きな人には楽しい作風です。

 

この作者の得意ジャンルは短編集だそうで、本で出ている唯一の

長編作品である仮面幻双曲はイマイチ合わなかったですね。

短編集を読む時はそんな無茶なと思うときはあれど、その謎解きの難解さに

頭を悩ませながら読む、読者への挑戦とかはないけど。

そして解決編を捲っていくと驚かされるといった感じ。

 

今回のアリバイ崩し承りますは、時計屋探偵という女性と依頼を持ってくる

警察官の二人を主眼にした安楽椅子探偵のような7篇の短編集。

この作家の特長としてキャラが非常に薄く、

その点が読みづらいと思われるような作風なのですけど、

今作はキャラの魅力がそれまでよりも強く非常に読みやすかったですね。

 

そして、パズラーとしての魅力は損なわれていなかったので、本格ミステリ1位も

納得の出来である作品でした。

 

 

以下、7篇の短編個別に対する感想です。

ここからネタバレばっかりです。

 

 

 

 

 

 

 1話目

アリバイを崩すとしたらどこから手をつけるかとなると、

単純にその日した行動としての些細な事を気にすべきという好例。

案外、普段と少し違うな?と思う行動に大きな意味があるのは人間あるあるです。

 

2話目

正直余り納得がいかず終わりました。

このアリバイを崩す理論の前提に不満が少しあります。

でも、自分が持ってた前提知識が間違ってるかもしれないので

そこは気にせずアリバイ崩しを楽しみました。

 

3話目

いやいや、捜査する内に流石に警察も辿り着くだろうと思いましたが

アリバイ崩しのロジック自体には納得。

 

残念ながら解くことは出来ませんでした。

 

4話目

アリバイ崩しではなく唯一アリバイ探しをする話。

この話のアリバイ探しは出来たけど、犯人当ては出来なかったなー。

 

5話目

個人的に一番好きなお話。

時計屋探偵とお祖父さんとの過去のお話。

意図的にアリバイを作るのも中々に努力が必要なのだなと。

 

6話目

アリバイの崩し方がなんとなく想像が出来るので、犯人当ても出来た話。

しかし、この話の考え方だと推理ゲームのクイズ的にも楽しそうだなとか。

 

7話目

面白いアリバイ証明の作り方だなーと感心しました。

そうか、ダウンロードか……

ただ、このアリバイ作成方に近いことを

一回実際に試してみたことがあるのですぐにピンときました。

 

 

総評をすると、久々に頭を回転させて読んだ良質のアリバイ崩しでした。

自分が探偵ならそんな手早く解けないなーと思いつつも、時計屋探偵さんは

あっさり安楽椅子探偵状態で瞬間で解くのだから凄い。

 

この作者さんがやっている密室蒐集家もそうですが、アリバイ崩し、

密室崩しと特化した探偵を作りだすのが非常に面白いので、

またアリバイだらけの短編集が出るのを期待したい作品集でした。