推理小説感想④ 屍人荘の殺人 ネタバレ有り
昨今、文章を書くのが億劫になってしまい、どうも人狼ゲームをやる
モチベーションが減退しています。
こうやって文章を書かないでいると、文章の書き方というものを
忘れていってしまいます。
と、言うわけで感想4作目は最近映画化が発表された、
今村昌弘さんのデビュー作、屍人荘の殺人。
この作品を最初に読んだのは一昨年の為、実を言うと
感想を書くタイミングとしてはおかしい気もするんですが、
映画化が決定+2月に新作が発売するという事で、
改めて再読した感想ということになります。
再読のため、ネタバレが非常に多くなっています。
購入を検討しているのであればブラウザバックを推奨します。
この作品、一昨年の推理小説系のランキングを総ナメした為、
本屋にいけば平積みされてるのを見たことがあるのではないのでしょうか。
作品としてはライトなキャラタッチ、推理小説にとっつきにくい人に
とって、読みやすい方に属する小説であると思われます。
と言っても、ただ文章や作風が読みやすく、軽い印象を受けるからといって
作品自体が軽いわけではなく本格小説としての出来は非常に良いです。
ランキング総ナメは、納得の結果と言えるものでした。
この作品のすごい所はやはり、エンタメ作品として一般に受けやすい要素を
取り込みながら、それを生かしているという部分に尽きると思います。
現代社会において優れている警察組織、それを除外するためには
クローズドサークルという特殊な環境を発生させるしかないのですが、
その部分を推理小説では余り思いつかない奇想天外な方法で制作してきます。
その奇想天外な方法をクローズドサークルだけでなく……いやー上手いですね。
しっかり推理できるように丁寧に作り上げているのも見事です。
その部分の推理の線は、綺麗に纏まっていてとても面白く感じます。
ただ、逆に再読するとかなり気になったのが登場人物。
なんというか今見ると行動が色々気になります。
まず、最初に読んだ時から思っていたのですが全体的に
切羽詰まった状況の筈ですが、緊張感が余りないです。
普通に自分が居たら怯えきってるはずで、あんな小洒落たトークは出来ないです。
個人で気になるのは主に3人。
まずは探偵、色々語り部を求める理由をあげていますが、
今見ると○○○○とはっきり書いた方が良かった気がします。
あれではどうして個人を求めているのかの理由がやっぱり理解が難しい。
ハブろうとする理由が良くわからないし……
次に、語り部。
当時はなるほど…と思いましたが、今見ると物凄く疑問符です。
とある事柄に憤る所まではいいですが、
あれを見過ごすのはその事柄よりも悪ではないのでしょうか……
最後に、犯人。
動機づけの理由の弱さ、自分が生きるか死ぬかの状況で
この理由で凶行に走るのかなぁというのに加え、その割に生きるために妙に
必死でなんか行動が二転三転していないか?と思ってしまいます。
今の若い人はこう動くのが普通なのだろうかと妄想をしても
読み直すと行動の粗は結構気になるものです。
そういう意味ではこの作品は本格推理小説というよりは
本格推理ライトノベルという表現がしっくり来る作品。
キャラクターを強烈にして、顔を覚えさせやすくする代わりに、
行動原理が妙に非現実世界観を感じさせるような感じ。
ただ、再度読んだ上でも推理小説としては普通に面白かった為、
推理小説が硬い、読みづらそうな物と思ってる人には読んで欲しいです。
日常の謎物というわけではなく、生き死にが出る為そこで躓く場合は
オススメ出来る作品ではありませんが……
最後に。
この作者の新作が2月20日。出ます。
この作品の続きとなっているようで、読むのを楽しみにしています。
ではでは、また次回の更新で。