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推理小説感想③ カササギ殺人事件 (ネタバレ有り)

去年、一番評価された本は何か?

それを一つ上げるのであれば、年末にあるミステリランキングで

見事海外推理小説部門の4冠を達成したカササギ殺人事件が該当するでしょう。

 

著者はアンソニーホロヴィッツ

海外の推理物のテレビドラマを見る人にはおなじみの名前で、

名探偵ポワロや刑事フォイル、バーナビー警部などの脚本を手がけています。

 

その著者が15年の構想を経て、作り出した珠玉のミステリー小説です。

 

そんなカササギ殺人事件、購入したはいいものの

翻訳物を読むのには自分の場合エネルギーが必要なのでずっと積読状態でした。

 

ですが、年始というエネルギーが余るタイミングが来たので

この機に一気に読もうということに。

 

この作品は感想を読んでしまうと一気に魅力が落ちてしまうので、

未読で興味のある方はここでブラウザバックを推奨します。

 

www.tsogen.co.jp

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以下ネタバレあり

 

 

ミステリが好きな読者なら、名探偵という存在を

好きになることがきっとあると思います。

 

それが誰かなのは、やはり読んだことのある作品によるのだろうなぁと。

私は多分ホームズと答え、次にポワロが出てくると思います。

日本の探偵という括りであれば明智小五郎金田一耕助を答えるでしょう。

 

上巻はそれこそ、クリスティのような古典ミステリー小説。

一人の名探偵に、古いイギリスの背景。クリスティの小説を読んでると

そのオマージュのレベルの高さに思わず笑みが浮かびます。

 

懐かしさを覚えながら、ページを捲っていくと時間を忘れながら没頭、

そして上巻の引きが見事。この流れでどのような作品が生まれていくのか……

 

となった所で下巻の冒頭です。思わず上巻の冒頭を見返しました。

そういえば、そんなプロローグだったな……と思いここで切るのか、

早く続きを読みたいと思いながらも、現代の新たな事件が始まっていきます。

 

現代の主人公は、ミステリー小説の編集者。

こちらは名探偵でも何でもなく、犯人予想を組み上げる姿が

情熱がある頃の自分のようなミステリーファンのようで、

こちらも懐かしさを覚えます。

 

この作中作を書いた作家について、

編集者がミステリ観を用いて批評していくわけですが、

そのミステリ観を用いながら推理を進めていく姿が

名探偵でも何でもないミステリーファンだな、と。

 

実際遭遇したらどうするだろうなと思って、解決しようと思って行動しても

これくらいのことしか出来ないよなぁ、などと。

 

しかし、ミステリ仕立てに考えて発表したいわけです。

犯人予想を書いて、まとめて自分で考えたい。

今回のスーザンの行動は、あー、やるやると思う行動を取りながら

名探偵のような勇気や決断力まではいかない感じが、それでした。

 

 

その、2つの世界を取り巻く緻密なフーダニット。

作中作の世界とどう繋がるのか。

そして、そこから導き出される犯人は誰なのか。

 

上下巻、合わせてとても長い作品ですが上巻に没頭できるのであれば

下巻を読む手が中々止まらなくなる作品です。

実際、正月休みであっさり読み切ってしまいました。

 

翻訳物は得意ではないのですが、面白い物にまた出会えたら読みたいものです。

 

最後に、スーザンの語るセリフで、とても印象に残ったものを。

 

 

ミステリとは、真実をめぐる物語である──それ以上のものでもないし、それ以下のものでもない。